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高尾山口にある隈研吾設計の駅のトイレがなぜスゴイのか

2019.05.09

R.クラフトです。

今回はトイレのネタで失礼いたします。

新宿からわずか40kmのところにある高尾山(標高599m)は、東京とその近郊からのアクセスが良いため、ハイキングコースとして親しまれている低山です。古くから霊山として信者を集めている修行地という背景もありますが、その一方で、なんと高尾山には1300種類の植物と4000から5000種類の昆虫、70種類の野鳥が生息しているというのです!その生物体系に興味のある外国人の観光客や研究者の訪問も、近年かなり増えています。

年間登山者数が260万人を超えるという高尾山の玄関口といえば、京王電鉄の高尾山口駅。この駅が2015年に改装され、美しい木造建築のトイレが誕生しました。設計は「和の大家」とも称される隈研吾です。そう、2019年秋にオープンする、東京オリンピックの新国立競技場を設計した、あの隈研吾が駅のトイレも設計されていたのです!

 

 

内外装には杉材を主に使用し、大胆な木組みのダイナミックなデザインの大屋根は、高尾山の象徴である薬王寺院をモチーフにしたのだそうです。機能面にもこだわりを見せ、滑りにくい床材を採用したり、臭いがつきにくいハイドロセラ・フロアを小便器の足元に配したりと、数々の工夫が見られます。

 

 

しかし!何よりスゴイと思ったのが、男子トイレと女子トイレのスペースの格差です。図面を見ると、駅構内の女子トイレのスペースは男子トイレのおおよそ3倍ほどで、男子トイレには大便器が3箇所、小便器が5箇所あるのに対し、女子トイレは大便器が13箇所もあるのです!

観光地に行くと、女子トイレの出入り口に長蛇の列ができているのを見かけませんか?順番を待つ女性たちはもちろんうんざりした顔をしているのですが、そこからちょっと離れて遠目で見ている連れの男性たちも脱力した表情をしていて、見ていて悲しい風景です。男性よりも女性の方が排泄に費やす時間は長いはずなのに、誰もそれを疑問にも思わず、無力なまま忍耐を強いられていたのです。

 

 

そこに視点を置いて配慮ある設計をした隈研吾は、さすがだと思います。実は隈研吾ご自身は障害をお持ちの方です。ガラステーブルに勢いよくついた右手が、割れたガラスの破片でざっくりと骨まで切れ、その後何度か手術をしたものの、感触が元に戻らないのだそうです。きっとそのせいもあって、弱い者や悩めるものに対して配慮のある設計を考えるようになったのかもしれませんね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、またお会いしましょう。

 

※写真は全て「KENGO KUMA AND ASSOCIATES隈研吾建築都市設計事務所」より拝借したものです。(©︎川澄・小林研二写真事務所)